セキセイインコのポーはデブでした。平均50gくらい、最盛期には55gくらいありました。
セキセイインコの標準体重は30~35gくらいなので、イメージとしては小学校3、4年生くらいの子が50㎏以上ある感じでしょうか。
けれど、インコって見ただけではデブがわかりづらいのです。下の写真だってスマートに見えませんか?
さて。ポーが2才の頃だったか。「エサを食べない。元気がない。かごから出たからない」ことが不安になり、初めて病院に行ったその日。運命の告知日です。
びっくりしました。「エサを食べない」と相談した先で「減量」を薦められるとは!
うちのインコは「痩せぎす」くらいに思っていたわけです。字義通りの親バカってものです。
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セキセイインコの肥満の見分け方は?
なお、この時の「元気のなさ」は換羽期が原因でした。なので、しばらくすると回復しました。
で、50gデブ。
デブのセキセイインコの話続きです。医者いわくインコの肥満は人間同様、万病のもと。肝臓にも負担が掛かりますし、太っちょは発情リスクも高まるとのこと。
40g以上 … 肥満
35〜40g … ぽっちゃり
30〜35g … 標準体重
25〜30 … 痩せ気味
ただ、その後、違う病気を経験し、いくつかの病院に通ううち、適正体重は鳥医者によって意見が異なることに気づきました。
ポーの体重をみて「ダイエット」を薦めてきたのは実に最初の病院だけ。どころか「これくらい太っていた方がいい」という先生もいたのです(その時は46gくらいでした)。
後述しますが、痩せすぎだと体調崩して食べないともう後がない。今となるとセキセイインコの体重50gは「さすがに太り過ぎ!」と思う自分ですが、20g台の方がおっかない気がします。
骨格といわれても一見では難しい。体重50gであってもシュッ!とされると痩せているように見えるのがインコです。
だそうです。
ただ、ポーは暴れ鳥だったのでなかなか確認が難しかった。いや、暴れ鳥でなくとも「むね肉触ってブヨブヨかどうか」は相当でないとわかりづらいかも。
インコの体重はキッチンスケールで
恥ずかしながら、当時はインコの体重を計るという習慣がありませんでした。というか、それを計る体重計もなかったわけでこの時キッチンスケールを購入。
今となっては「ない」というのが考えられなくなってしまった。
1000円ちょっとで買えます。「0、1ミリグラム」まで表示されるデジタルスケールの方が使い勝手がいいと思います。ついでに上記のような、風袋引き機能がある方が便利です。
「風袋ってなんじゃ?」という方にご説明しますと、うちのインコは体重計におとなしく乗ってはくれませんでした。空き箱に入れたり、エサを食べている最中にハコごと測ることにしました。
風袋引きとは「箱の重さ」を引いてくれる機能なのですよ。
インコが箱に入るのをイヤがる? そんなの当たり前です。鳥だったら私だってイヤですよ。イヤがる鳥を無理やり箱に入れて体重を計るか、あきらめて今日は計らないって話になるわけです。
セキセイインコがデブになった場合の4つの鉄則。ヒトが食べるものを与えちゃ絶対ダメよ!
そういうわけで、当初は毎日、体重を計っていました。しかし、どう痩せるのか?問題が生じます。
結論から言えば、ポーのダイエットは失敗続きだったので、偉そうなことはいえないのですが、調べたところでは以下のような作戦が考えられます。
その1、エサを変える
ダイエットフードに頼るのは手です。
シードの場合
特にシードの場合、「カナリーシード」はデブのもとです。
インコにとってはおいしいらしい。いかんせんカロリーが高い。エサを買い替える時は「カナリーシード」抜きのものを選びましょう。
使いやすいミックスのタイプはだいたい「カナリーシード」込みだったりするので。で、なぜかこの「カナリーシード」なしのエサは値段が若干高くなるという。
「ひえ、あわ、きび」を単品で購入し、飼い主がミックスする手もあります。以前、通っていた小鳥の病院ではオリジナルミックスが売っていました。
なお、「きび」は個体によってはキビづまりを起こすこともあるとかで「ひえ」&「あわ」の二種盛りで行く飼い主さんもいる。
あとは、カナリーシード抜きの「ダイエットフード」を選ぶことでしょうか。主に扱いは専門店です。インコ業界で有名なところではとりきち横丁です。
インコ先進国、ドイツからの直輸入になります。オーガニックで評判もいいですし、ポーも一時期食べていましたが、これまた少々高い。送料も高い。
もっと問題なのは届くまでに2週間以上待たされる場合があるってことです。
国内では鳥専門店の「バードモア」とか「とりっぴー」あたりもお手頃でエサの種類も豊富だと思います。
ペレットの場合
ペレットの場合はシードよりカロリーは抑え目。ただ、幼鳥用のハイエネルギータイプを間違って買うと太ってしまうぞ。
おすすめは、ラウディブッシュのローファット用です。デカいサイズしかないのが玉にキズ。別のインコですが、こちら実際ダイエット効果ありました。
その2、エサの量を加減する
ダイエットフードだからといって好きなだけ食べさせてはいけません。
今考えると当たり木しゃりきですが、ポーインコの時は飼い主の考えが甘くこれが徹底できていなかった。
のちに別のインコでダイエットに成功した時は徹底して計りました。面倒だけどね。
インコ1羽の食餌は体重の10分の1量と言われています。35gなら日に3・5グラム強。
もちろん、減らしていく場合は徐々にです。特に冬場は寒さでエネルギーが奪われがちなので慎重に。急にではなく、2~3日で全体量の1割弱くらい減らすとか、ゆっくりと。
※ちなみに、その後、別のセキセイインコのダイエットにて「3、5gでも痩せません」と病院で言ったところ、「では、3gに」「3gで痩せなければ2.5gに」と言われました。
10分の1量でも多すぎるってこともあるようです。なお、10分の1量はペレットの場合であってシードだと少なすぎると思う。
これね。いろいろ説があります。
皮の量を換算しないでいい、といっているブログも見た。
実際、シードからペレットに変えた時、そのまま量で与えていたらみごとにデブりましたから。一般的に言われているのはシードの可食分は7割。もちろん、その種によって違うと思います。
また、シードの一日量について5~7グラムくらいといっているお医者さんもいます。ご参考までに。
その3、人間の食べ物を与えない
「当たり前じゃろ!」と怒りの声が聞こえてきそうでヒヤヒヤします。
初期の頃です、と小さくなって言い訳したい。
ですが、うちではインコのデブが発覚するまでは「食パンやポテトチップスのかす」をたまに与えていました。
目をギラつかせながら食いついてくるのが面白過ぎて……ってところでしたが、これは絶対にやめた方がいいです。インコって普通に飼い主の食べているものを食べたがりますからね。
飼い主が飲んでいた麦茶を飲みたくて、飲みたくてコップにダイブした醜くてかわいいポーちゃん。ホントはお茶もよくないのでしょうが。
その4、運動をさせる(飛ばせる)
と、書いたものの、こちらは専門家の間でかなり意見が分かれるところらしい。
私は別々の病院でこれらの意見を聞きました。
確かに家の中を2、3巡したところで大した運動量にはなりそうもないです。運動療法は飼い主が本気になって記録を取らないと難しいような気もします。でも、どのように? 何にせよ、うちでは成功しませんでした。
結局、うちで気を遣ったのは「カナリーシードはやめること」と「人間の食べ物を与えない」程度。55gが47gくらいまでは減ったかなぁ。
「インコの食事と健康がわかる本」は肥満にくわしい
ちなみに、当時は知らなかったのですが、インコの減量に関しては「インコの食事と健康がわかる本」(細川博昭著)が類書にはない詳しさです。
実に1章分割かれています。減量を真剣に考えているならば一番参考になるかと思います。
セキセイインコがデブだったからこそ生還できた話
そう言っていいのかどうかは断言できないものの、デブゆえに命を長らえさせたことはあります。
病気で15g痩せた!肥満から一気に標準よりやや上くらいに
ポーちゃんは4才になる少し前、腹膜炎と肝性脳症を発症し、かなりヤバい状態になりました。羽は膨らみ、目は閉じっぱなし、食事はしない、口元にエサをもって行ってもゲーゲーもどす。
この時、鳥病院の先生は言いました。
助かるかどうかは「五分五分」と言われました。「このまま食欲が戻らなかったら、どのくらい持ちますか」かろうじて尋ねました。
先生はマジメな顔で告げましたが、われわれポーの家族、ポーの一族にはつかの間「クスッ」としたムードが流れました。
デブがゆえに絶食状態でも通常より持つと言われたのです。
その闘病中、ポーのの体重は直前の52gからたったの一日半で37gまでに落ちました。36時間で-15g減!!恐ろしすぎです。
37gまで痩せたポーちゃん。これでも標準体重よりもやや上ですが、先生の判断でその後まもなく強制給餌となりました。
「そのう」に溶かした食べ物を注射ポンプ(針はなく管がついている)で投入します。カナリーシードどころではない、高カロリー食の摂取で危機をしのいだわけです。
太っていたから救われたインコ?
結果的にポーちゃんは一命を取り留めました。
強制給餌を2日ほど続けた後には自力で食べられるようになりました。
「ヒトが食べるものを与えちゃダメだって言わなかったか?」、そう思うあなた。しにかけたインコを前にそんなことは言えません。
病院の先生いわく「みかんでもバナナでも、インコが食べたがるものを与えてください」と。ポーはバナナが大好きなのです。
この経験から思ったこと。
肥満気味だったからこそ病を引き起こした可能性は否めない。ですが、肥満でなければ生還はもっと厳しかったのではないかと思うわけです。
もし、ポーが体重30gくらいしかなかったら直ちに強制給餌でしたでしょう。体重の減り具合も怖すぎる。
単純計算に過ぎませんが、この「後がない」感じは苦し過ぎです。ポーが病気になった日はポーがデブでよかったと感謝した日でもありました。
ちなみに、この時、ポーを助けてくれた病院は「肥満をなんとかしろ!」と言われたことはありませんでした。「肥満は肝臓を悪くしやすい」とは言っていましたがね。
15g痩せた体重は今現在どうなっているか? ブクブク太って元の木阿弥です。
小鳥の専門医に聞く!インコの適正体重はバラバラだった!
その後、諸事情により私は短期間で5つの鳥病院をハシゴすることになりました。
その経験から思ったのが、鳥医者の言うことは少しずつ違うどころか、まったく逆だったりする場合もあるということ。参考までに、小鳥の体重についてのスタンスを列記します
ところ変われば品変わる。
医者Cに至ってはポーちゃんのデブ体形をがっちり体形と言い換え、絶賛のていでした。これにはポーも喜んだことでしょう。
「インコ」「肥満」で検索すると「(人間同様)太り過ぎは万病のもと!」というようなフレーズはよく出てきます。
けれど、医者である人々のその反応は上記のようにバラバラです。
そうして、病鳥というのは本当に一気に体重が落ちます。「インコの太り過ぎは危険」といっても「人間同様」とは言い換えられません。
どんなに痩せが進んでも人は一日に10キロも体重が落ちたりはしないわけですからね。
厳密には同じ種であっても適正体重はまた違うとも言います。今現在インコのデブに悩んでいる飼い主さんに言いたいことは「焦らず、ゆっくり」ってことです。
デブインコは発情しやすい?減量で発情が止まった話
難しいですね。
その後の経験からいうとポーに限らず、「太っている」&「飼い主のベタ慣れ」インコは高確率で発情する。発情はこれまた病気につながる。50gポーはそもそも発情しすぎでヘルニア持ちでしたから。
で、ポーの親戚にあたるインコが上記とはこれまた別の病院にかかった際は
と言われたこともある。
で、実際、ダイエットしてかなりの発情抑制ができたしね。
ともあれ、インコのデブ問題はいろいろと奥深いってことです。
この記事を書いた当初よりも多少は飼い主としてのスキルも上がり、小鳥のダイエットもなんとか成功させるに至っているわけですが。