こんにちは。
今日はセキセイインコ、生後4か月でPBFDを疑われたポケの話です。
ポケは健康診断で「PBFD疑い濃厚」と宣告されました。
PCR検査の前、触診の段階で。
そう、なんとなく名前は聞いたことがあったのですが、実はその怖さがよくわかっていなかった。
病院に連れていった時は「健康体そのものだろう」くらいに思っていたので、先生の説明にびっくりして頭が追いつかなかったというのが正直なところ。
で、家帰って調べまくって絶望的な気分になりました。
ウィルス性疾患で鳥のエイズみたいに言われている病気だと。
陰転する場合(=陰性になること)もあるものの、根本治療はなく短命で終わるとか、どんどん脱毛していくとか。
結論を言えば、検査の結果、ポケのPBFDはすでに陰転していました。
今回は「PBFD疑い濃厚」だったポケの羽根の状態やら、パニックになりながらの「PBFDリサーチ」やら。
愛しいインコのPBFD、またはその疑いのある飼い主さんのご参考になれば幸いです。
PBFD陰転のポイントは?お医者さんと飼い主さんの声をまとめてみた
Contents
インコのPBFDは羽根が抜けていく病気です
まず、インコのPBFDのおさらいから。
「もう知ってるよ」という方は次の見出しまでスクロールを!!
オウム ・インコ類 における重篤 かつ致死的な感染性疾病 のひとつとして知られてお り、PBFDウイルスの感染によって引き起こされる。
(中略)臨床症状は初生ヒナにみられる甚急性型、1ヵ月齢前後の幼鳥にみられる急性型、若鳥~成鳥にみられる慢性型の3つに型別される。
健康な鳥ならなんてことのない雑菌や外界の変化で体調を崩す。
「昨日まで元気だったのに、朝起きたら……(泣)」なんてことも起こりやすい。昭和の時代にはコロっといくから「コロ」と呼ばれていました。
また、多くの飼い主さんを絶望の淵に追い込むのは見た目の悪化でしょうか。引用文でいうところの慢性型。
風切羽(羽の部分です)が抜け、尾羽根(尾っぽ)が抜け、フワフワの短毛が抜けていく。
抜け具合は個体差もありますが、換羽のたびに羽毛は減っていき、丸ハゲ状態になってしまうこともある。
これはショックです。その過程がとても切ない。
丸ハゲになってしまったインコちゃんのブログなんかを見ていると、それでも可愛いんですけどね。そもそもインコはけなげで可愛い生き物ですから。
そうなのです。
複数飼いの場合、これまた苦しいです。
感染しているインコはただちに隔離しなくちゃならない。
もちろん、既に感染している可能性もあるので同居インコも検査が必要になる。
検査には1羽あたり8000円から1万程度かかるでしょうか。10羽とか20羽とか飼っている人はめまいがしそうです。
運よく他のインコに感染していなくても、PBFDインコちゃんは突然仲間と離され、「ずっとずっーと一人生活」を送ることになります。
陰転してもウィルスはしばらく残る(自分が調べた感じでは半年くらい)のですぐに仲間の元に戻ることもできない。
切ない……。
PBFDの初期症状は? うちのインコの羽軸は黒かった
さて、わが家の体験談に行きます。
ポケを都内の小鳥専門病院へ、健康診断に連れて行ったのは生後4ヶ月のとき。
よく鳴き、よくなつき、エサもよく食べる。要するに元気いっぱいだったわけです。
ちなみに、先代インコのポー師匠はヘルニアでした。
ヘルニア部分に腸が入り込み、飼い主がフンを押し出さなければならないとか、なんというのか、わりと介護が必要なインコだったわけです。
だからこそ、2代目ポケが元気いっぱいなことは本当にありがたかった。
PCR検査をする前にね、言われましたね。
PBFDは基本、PCR検査(採血)で白黒はっきりします。
採血は首に注射するか、爪を深切りするか。
あるいは、疑いのある羽根を抜いて検査するケース。これは別のブログで読んだだけなので詳細は不明ですが、採血の方が確実だといわれています。
典型的なPBFDの初期症状というのがあり、不自然な羽根の抜けがあったり、抜けた羽根の軸が黒くなっていたり(血です)、羽根自体がうねっていたりすれば疑わしいとも(※単なる栄養不全の場合もあり)。
わかるかな?
上はポケの抜け落ちた尾羽です。PBFDインコは羽軸に小さな黒い点が出たり、羽軸が黒くなる。羽軸の先っちょは普通は透明です。
なお、種によって症状は少しづつ異なる。オウムなどの場合は羽毛の症状に加え、脂粉が減ったり、クチバシが変形したりの症状も出るらしいです。
インコの病院でPBFDを疑われた(検査の一部始終)
さて、うちのポケちゃん。これまたボケてるな。
病院に行った時はこのようにボサッとした見た目ではありましたが、換羽の後だったのでほとんど気にしてなかったわけです。長い羽も抜けてなかったしね。
そうした中、先生が着目したのはおそらくこの羽根(※こちらは近影です)。
わかりづらいですが、羽根のつけ根の部分がなんかピンクな。
単に「血管が透けてるだけであろう」くらいに考えていた飼い主とは違い、先生の表情は固まりました。
※2022年4月追記。今思うとこれはただの血管の透けだったと思う飼い主です。新しい羽根が伸びてくる時、よくあることなので。多分、先生が見つけた印は別のものだったんじゃないかなと。
その後、スタッフになんやかやと指示を出し、羽根に何やかやをこすりつけてそれをルーペで見ていたような。
この所作が先の「羽根抜いて検査」にあたるのかどうかはわかりません。
とにかく間がありました。先生が顕微鏡から顔をあげるまで長い、長い時間がかかったように思います。
やがて、先生は言いました。
「フンやそのう検査の結果は問題ありません。ただ、お話しなくてはならないことがあります。PBFDという病気をご存知ですか?」と。
スタッフからPBFDのプリントを渡されました。
免疫がどうの、亜急性期がどうの、医学辞典を書き写したような内容だったので、「怖い」というより「よくわからない」が正直な気持ちでした。
先生は続けました。
「陰性か陽性か、血液検査をしてみないことには確実なことはいえません。でも、ポケちゃんは生後4か月にしては羽の量が少ない。本来ならもう少し厚みがあるはずなので……」
たしかにちょっとばかり、みすぼらしいけど。
って、換羽だからじゃないの?
先生は苦笑いしつつ、病気の説明を続けました。
私の方は「ああ……」とか「そうなんですか……」ばかり、繰り返してました。
血液検査をしないと「確実なことは言えない」といいながら、先生のその後の発言からは「確実に疑っている」ことのみが伝わってきました。
↓以下、先生の話。
「感染経路は親からか。あるいはペットショップで一緒に過ごした雛たちかと」
「PBFDには今のところ、確実な治療法はありません」
「免疫力を高めることが対症療法。うちでは漢方治療を行っていますが、それをやったからといって陰性になるとは限らない」
「ただ、何もしなくても自然に陰性になる子もいる」
「ポケちゃんの場合も、もしかすると既に陰性になってる可能性もある」
「すでに体内からウィルスは抜け、羽根にのみ残っている場合もある」
言葉は選んでくれていますがね。
「早死にする」とか「ハゲてくる」みたいなこともその場では言っていないし。
一方で、羽根の異常自体は栄養不全などでも起こりうるんですよ。
あとはPBFDとよく間違えられるBFD(ヒナがかかる)もある。これについては触れていましたが、栄養不全みたいな話は一言も出ませんでしたね。
PBFDの検査費用は1万と少し
結局、PBFDとBFDの検査を受けることにしました。検査費用は併せて12000円くらいだったかと。病院によって差はあるかもしれません。
通常料金だと「検査結果が出るまで、3週間から1か月くらいかかる」と言われました。(※これは病院による。1週間で出るところもある)
ことの重大さを理解していなかった私はそれでよしとしました。
が、帰宅後に「PBFDは早期治療で陰転の可能性も上がるらしい」と知り、すぐに病院に電話。
「特急料金で。それだったら、一週間で出るんですよね?」
振込みはできないというので電車に乗ってプラス1600円を払いに行きましたよ。
東京の感染者がすごいことになっていましたが、都心部へと2日連続動きまくり。白状するとコロナのことなんて考えられませんでした。
PBFDのインコ、尾羽がボロボロなんですか?
結果が出るまでの1週間、特に最初の3日ほどはかなり気持ちが沈みました。
逆に、それまで気にも留めていなかったポケの羽根が、見れば見るほどPBFDに見えてきます。
↑ヘンナ羽が飛び出てるし。
↑尾羽もなんか色褪せてボロボロな気がするし。
↑この羽根のうねりもPBFD特有の症状なのでは!?
そうして、勢いよく毛づくろいなんかしてぽろりと羽が抜けたりすると「ひー!」という気分になりました。
そうなのです。同じアルビノ、先代ポーの羽根はヘルニアでもキレイだったのに、ポケはなんだか褪せている。
けれど、その色味は私や子どもがべたべた触っているからだろう(=手垢?)と思っていたわけです。
でも、ネットサーフィンする中で「PBFDインコは羽艶が悪くなる」らしい説を見つけてしまいました。
もう一つ、気がかりなことは生後一か月目にクリッピングした羽根が伸びないこと。
クリッピング?と聞いてイラっとした方もいるかもしれません。
言い訳をすると、生後1ヶ月で飛べるようになったポケは照明の真上に止まるようになりました。
飛べるようにはなったけど、足元はよろよろ。バランス崩して電球に触れそうで、大やけどがおそろしく、苦渋の末に羽根をカットしたわけです。
でも、その羽根がなかなか伸びてこない。切ってから3か月も経っているのに、切った直後と変わらずに全然飛べない。
これもPBFDのせいではないのか?
「もう新しい羽根が生えてくることもないのでは?」
そう思ってしまうと、羽を切ったことが可哀想で可哀想でどうしようもありません。
インコのPBFD、ツィッターで陰転の情報集め
死のような宣告をされても当のインコは元気です。
「インコは悩みません」とサイエンスライターの細川 博昭氏も著作でたびたび書いています。
インコは先のことなんか考えない。インコの頭の中は今と今の連続しかない。
が、飼い主の頭の方はどんどんウツウツ化。
道を歩いていて、ハトやカラスの羽が落ちていようものなら、その羽軸を食い入るように見つめてしまったり。
確かに。
PBFDの治療法やら治療費やら「陰転の可能性はどれくらいあるのか?」とか、とにかくわからないことだらけだったわけですよ。
なので、病院に行ったその日と翌日でPBFD関連のブログは50~60件近くは読んだでしょうか。
絶望的な記述がある一方で、生後1年以内のセキセイインコの陰転例は珍しくないなんて話も見つけた。
「鳥のエイズ」とも言われていますが、今やエイズの平均余命は非感染者とほぼ変わりませんしね。
同時に、小鳥の病院に片っ端から電話し、治療法や治療費についても尋ねました。
ポケを連れて行った病院では「漢方薬で月7000円」と言われ、これまたショックを受けたので。いい病院なのはわかるけど高い。長期戦になるかも……と考えると投薬だけでこれはやっぱり高い。
本当に病院それぞれ違いました。インターフェロン注射やインターフェロン投薬など、選択肢もいくつかあリます。この辺りも別記事でまとめました。
情報収集のために神保町に行って小鳥の医学辞典を探しに行ったりもしたけれど一番はツィッターでした。
インターフェロン注射っていくら掛かるのだろう?月2万で収まるの?もっといく?毎週行かなきゃなんないのかな。
漢方は月7000円だと病院から聞いた。どっちがいいんだろう。
— PBFDが勝手に陰転したインコ (@pokepoke0302) July 13, 2020
私はSNSをほとんどやらないのですが、今回ばかりはツィッターの存在に感激することしきり。「PBFDで絶望しそうになったら、まずツィッター!」と言いたいくらいにオススメです。
陰転インコも多いですし、今の今、闘っているインコもいる。
飼い主さんたちは皆優しくてね。アカウント取ったばかり、フォロワー数ゼロみたいな私にも親切にいろいろ教えてくれました。
「どんな治療をしたのか」とか「陰転までどのくらいかかったのか」とか「おすすめサプリは何か」とか。
そうこうするうち自分の心も少し落ち着いてきました。
検査結果が出る前にはPBFDに良い(?)というフォニオパディ(要はエサです)や水素水やらを注文し、なおかつセカンドオピニオン込みで他の小鳥病院にも予約を入れました。
だいじょうぶ!ポケインコは私が絶対守るぞ!と言い聞かせ。
※陰転情報はコチラ↓
「PBFDが自然治癒した」のか?「そもそも陽性」だったのか?
で、1週間後の夜8時すぎ。スマホの着信を見ると検査を頼んだ病院からでした。
結果が出たのね。陽性だよね、当然。ほぼ100%の覚悟を持って電話に出ました。
が。
先生「結論から言うと、すでに陰性になっていました」
はい。
「PBFDではなかった」のではなく「PBFDだったけど陰転したようだ」と。この辺りのニュアンスはとても大事にしてましたね。
ううむ。
もしかしたら、お医者さんによっては単なる「陰性」として処理するかもしれません。
いや、する気もする。
何しろPBFDはよくわからないことが多い。
「治療法はない」ということになっているものの、だけど、インターフェロン注射とか漢方とか治療薬は何故だかあるし、治療して陰転するケースだって少なくない。
もっと言えば、小鳥の病気にはわかっていないことの方が多いんです。
横浜小鳥の病院の有名な先生も次のようにツィートしていて、割とがくぜんとします。
鳥の獣医師の診断は一般的な見解と捉えられがちですが、そうではなく私見です。鳥の医療には診療指針がないため、病院独自の経験と知識で診療を行なっています。そのため病院によって診断と治療方針が異なります。必要な検査をしない、手術の成功率が低い場合は、セカンドオピニオンを検討してください
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 2, 2020
ポケを診てもらった先生もまた、小鳥界隈で有名なお医者さんです。初診時の状況も考えると自分としては「ああ、そうなのか」と思ったというか。
インコのPBFD 抜けた羽軸に黒い点がありました
正直、治療費との兼ね合いもあってね。別のエキスパートにもう一度診てもらおうと思っていたわけですが・・・・・・。
けれど、検査結果が出た翌々日、尾羽が抜け(!)羽軸の黒点を見て「やっぱり。そうだったのかなぁ」とも。
最後に、PBFD陰性と言われた時の先生との会話をもう少し。同じような状況になった方のご参考までに。
私「陰転ってことは、もう病院には行かなくていいんですか?」
先生「ポケちゃんの場合は来るとしても1年後くらいでいいと思います。陰転した子専用の外来時間があって(通常外来でもなく、感染症外来でもなく)初回はその時間帯に来てもらうことになります」
私「まだ、羽根にウィルスが残ってるってことですか? これは、いつ頃まで残るものなんでしょう?」
先生「羽根にはまだ残ってますね。すべてきれいに生え変わるのは……、個体差があって数か月の場合もあれば一年くらい掛かる場合もあるのでなんとも言えないんですけども」
先生「あとは、陰転しても感染力は残っているので、新しいインコをお迎えするのはしばらく避けた方がいいと思いますね」
ともあれど。
「PBFD陽性です。治療お願いします」といって予約取った病院に「やっぱり陰性でした」と断りの電話入れたり、ツィッターで大騒ぎした手前「やっぱり陰性でした」とツィートするのはちょっとだけ恥ずかしかったです。
もちろん、皆さん、喜んでくださいましたが。
この場を借りて、あの時に励ましのメッセージを送ってくれた飼い主さんとすべてのインコちゃんに感謝です。
ぼさぼさの羽根はつるんとしたベルベット状態になりました。
もしかしたら、換羽が終わったってだけかもしれませんが。
あとは懸念材料の1つだった飛翔力。風切羽も生え揃い、飛べるようになりました。照明の上に行こうとするから困るんだけども。